2013.10.16

【開催報告】自然はキミの大先生!




チョウからドレス? カワセミから新幹線? 自然はキミの大先生!

 

光り輝くドレスのヒントはチョウの羽に、高速で走る新幹線の秘密はカワセミのクチバシに。いったいどうして?

 

自然をよく見て探っていくと、たくさんの不思議や秘密が見つかります。それは、たった一つの地球で他の生物や環境といっしょに生きる一番いい方法なのです。そんな自然を先生にして、ものづくりの未来を考える講義を行いました。

 

日 時:2013年8月12日(月)14:30-16:00
場 所:東京国際フォーラム(東京都千代田区)
参加者:小学3年生~中学2年生 74名
講 師:星野敬子(アスクネイチャー・ジャパン 研究員・コーディネーター)
主 催:株式会社東京国際フォーラム
企画制作協力:株式会社ウインズ・インターナショナル

 

*本講義は、2013年8月12〜14日に東京国際フォーラムで開催された「丸の内キッズジャンボリー」内の企画「TIFワンダーキャンパス」講義のひとつです。

 

プログラム

14:30-14:40 自然から学ぶものづくり
14:40-15:10 ワークシート「5つの事例」
15:10-15:50 工作実験「ハチから飛行機」
15:50-16:00 まとめ&質疑応答


自然から学ぶものづくり

 

自然のどんなところに学んで、どんなものがつくれるんだろう? 自然から学ぶとどんないいことがあるんだろう? 参加者と一緒に考え、体験しながら、学んで行きます。

 

参加者には、事前に「予習」を呼びかけていました。教材はウェブサイト「ネイチャーテック研究会のすごい! 自然のショールーム」です。各自しっかり準備をして講義に臨んでくれたようで、話しをする前からワクワクが伝わってきました。

 

ワークシート「5つの事例」

 

講義で取り上げたのは5つの事例。自然界(生きもの)のどんなところに注目して、どんな製品ができたのか、ワークシートに書き込んで行きます。

 

まずはよく知られている事例、1990年代の新幹線開発です。「知っている?」という呼びかけにたくさん手が挙がりました。カワセミのくちばしとフクロウの羽根のしくみに通じる新幹線は、従来のものに比べエネルギー使用量を大幅に削減しました。自然から学んだものづくりのひとつの醍醐味は、環境負荷を減らすこと。ここに注目しながら事例を紹介しました。

 

工作実験「ハチから飛行機」

 

ハチは巣の中で、幼虫を育てたり、蜜や花粉をためたりしています。大事な子どもと食料なので、かんたんに壊れない丈夫な巣が必要です。木から落ちないように軽くもしなければなりません。たっぷり蜜をため、子どもをのびのび育てるための十分なスペースも。

 

ハチはどんな工夫をしているのでしょう? そのヒミツは6角柱にありました。壁の厚さはわずか0.1ミリという少ない材料で、隙間なく数千の部屋をつなぎ合わせて構造体をつくっています。隙間なく敷き詰められるものに3角柱、4角柱、6角柱がありますが、一番広々使えて丈夫なのは6角柱です。

 

それを確かめる工作実験を行いました。グループごとに3角柱、4角柱、6角柱の構造体をつくり、重りを乗せたり自分で乗ったりして、耐荷重を計って行きます。この実験は初めて会う参加者同士が協力しなければなりません。はじめ緊張していた人も少しずつ打ち解け、年長者がリーダーになってみんなをまとめ、実験成功! 6角柱の強さを体験しました。

 

ハチの巣構造は、その英語名”honey comb”から「ハニカム構造」と呼ばれています。この軽くて丈夫な特徴を活かして、航空機や人工衛星がつくられています。今回は特別に、航空機の部材製造を行う株式会社ジャムコ様にご協力いただき、航空機で使われているハニカムパネルを、あらゆる角度から見て触りました。このパネルは六角柱を薄い板で挟んだ部材で、航空機のトイレやフロアーなどいたるところに使われています。パネルの内部構造を見たり持ち上げて軽さを実感したりと、貴重な体験になりました。

 

まとめ&質疑応答

 

アリと人の総量が近いこと、知っていますか? アリ一匹は数ミリグラムですが、およそ一京匹(一億のさらに一億倍)いると考えられています。小さなアリでもこんなに大きな数になると、人の体重と人口70億人をかけ合わせた総量と近い数字になると言われています。

 

アリも人と同じように生活している。でも、アリの世界で森林破壊やゴミ問題が発生しているという話を聞いたことはありません。自然の循環を妨げるような営みをしていないからです。自然のルールに従って、何千年何万年という時を生きている大先輩に、営みそのものも学んでいかなければなりません。

 

このお話で締めくくりましたが、これは私たちアスクネイチャー・ジャパンの活動テーマです。人はたった一つの地球上で他の生きものとともに生きる存在です。地球という自然に支えられています。その原点を忘れずに、自然の法則から学ぶことで、私たち人間社会をよりよいものにして行きましょう。

 

参加者の感想を一部抜粋してご紹介します。

 

・今回知った事を色々なことにやく立てたいと思います。
・ぼくはカワセミがとてもすきです。カワセミのくちばしがしんかんせんになっていたのはしっていましたが、カワセミがチョウとおなじつくりかたではねや体がつくられていたのはおどろきました。
・みんなと協力してやったハチのすの六角形や三角形、四角形がとても楽しく感じました。またこういった機会があったら、ぜひ行きます!!
・自然のじゅんかんに合わせて物をつくることが大切ということが心に残りました。工作が楽しかったです。
・つぎはじぶんでつくりたいと思いました。

 

*本講義を行うにあたり、東北大学石田秀輝先生にご協力をいただきました。ありがとうございました!

 

講師プロフィール
星野敬子(ほしの けいこ)
英国シューマッハー・カレッジ/プリマス大学 ホリスティック・サイエンス修士課程修了。環境・持続可能性に関するコミュニケーション業務を経て、2011年よりアスクネイチャー・ジャパン研究員・コーディネーター。米国バイオミミクリー研究所のプログラム “Biomimicry for Educators” 修了。国内外におけるバイオミミクリーの調査研究と、教育やまちづくりの現場で実践を行う。

 

 


写真提供:東京国際フォーラム、ウインズ・インターナショナル

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