2014.04.04

【開催報告】水鳥・アメンボ編

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西の湖にはさまざまな鳥や魚や虫たちがたくさん暮らしています。その色やかたち、生態をよく観察すると、いきものたちが生きる為の秘密に出会うことができます。水鳥観察、工作実験、レクチャーを通して、自然の不思議にふれるワークショップを開催しました。

※チラシはこちら

 

自然に学ぼう!いきもの探検隊 〜水鳥・アメンボ編〜

日 時:2014年3月15日(土)9:30- 12:00

場 所:安土自然ふれあいハウス(滋賀県近江八幡市)

参加者:大人10名、こども(主に小学生)10名

参加費:無料

主 催:西の湖廻遊路プロジェクトチーム(滋賀県立大学松岡研究室、近江八幡市政策推進課、近江八幡市文化観光課、近江八幡商工会議所、安土町商工会、株式会社まっせ、アスクネイチャー・ジャパン)

 

※本事業は、滋賀県立大学COC事業の一環である公募型地域課題研究「西の湖を拠点とする自然の恵みを活かした観光ルートの調査研究」として実施しました。

 

プログラム

09:40-09:55 レクチャー「自然から学ぶものづくり」

09:55-10:55 水鳥観察

10:55-11:05 休憩

11:05-11:30 工作実験「鳥や植物が風を利用するしくみを再現しよう!」

11:30-12:00 レクチャー「アメンボロボットがびわ湖を守る!? 〜いきものの動きに学ぶロボット開発〜」

 

レクチャー「自然から学ぶものづくり」

わたしたちの身の回りには、自然(いきもの)の特徴をヒントにしてつくられた製品があります。いきもののどんな特徴に学び、どんな製品ができたのか、クイズを交えてワークシートに書きながら、5つの事例を学びました。

例えばフクロウ、オナモミ、ハスの葉っぱ。おなじみの鳥や植物の機能をお手本に、新幹線、面ファスナー、傘などがつくられています。これらの製品は、ただ新しいだけではありません。省エネルギーやごみの削減、環境汚染の原因になる材料を使わない、などのさまざまな利点があるのです。

 

水鳥観察

自然から学ぶものづくりは、自然を観察することからはじまります。今回は、水鳥の貴重な生息地で知られる西の湖で、水鳥を観察しました。はじめに双眼鏡の使い方や、鳥の特徴、観察のマナーを学び、いざ湖へ!

遠くで点のように見える鳥も、双眼鏡やフィールドスコープを使えば、色やかたち、動きまでよく見えます。初めて出会う鳥たちの姿に、こどもから大人までワクワク。緑があざやかなマガモや、黒と白のコントラストがきれいなキンクロハジロ、首が長く潜水が得意なカンムリカイツブリなど、さまざまな種類を観察しました。

 

工作実験「鳥や植物が風を利用するしくみを再現しよう!」

西の湖には、はるか遠くシベリアから渡ってくる鳥がいます。なぜこれほど長距離を飛べるのでしょうか? 鳥が空を飛ぶひみつの一つは、羽の形にあります。羽の独特のカーブが、風をとらえて浮く力「揚力」を生み出しています。まず、このしくみを体感する簡単な実験を行いました。

そして、アルソミトラという熱帯の植物のタネが、空気をうまくとらえて遠くまで飛んでいくしくみを、紙ひこうきで再現しました。色紙をタネのかたちに切り抜き、クリップで重りをつけて完成です。高いところからそっと手を離すと、風がほとんどなくてもふわりと10メートル近く飛んでいきました。

 

レクチャー「アメンボロボットがびわ湖を守る!? 〜いきものの動きに学ぶロボット開発〜」

最後に、中央大学中村先生から、いきものに学ぶ最先端のロボット開発についてお話いただきました。

皆さんは虫などのいきものをじっくり見たことはありますか? いきものを観察してみるとおもしろい動きをしていることが分かります。ガタガタ道を4本足で歩いたり、壁をはって進んだり、草むらを跳ねたり、水中を泳いだり。いきものは環境に応じてさまざまな移動方法を進化させてきました。

中村先生は、土の中、宇宙、深海など、人が行くことのできない場所で活躍するロボットを開発しています。そこに住むいきものを調べ、その動きをもとにロボットを設計し、世の中に役立つ応用を目指して研究しています。

 

例えば、ミミズロボット。ミミズの動きのように、狭い管の中を移動するロボットです。たくさんの企業や研究所とともに、月や火星の地中を調べたり、細い管の中や人のからだ(大腸)を検査したりするロボットを開発しています。

他には、アメンボロボット。アメンボは前後4本の脚で波を吸収しながら、中の2本の脚で水をかいて進みます。これをヒントに、琵琶湖の環境調査に使える水陸両用のロボットを研究しています。現在はボートを使い、人の手で一カ所ずつ調査をしていますが、ロボットを同時にたくさん浮かべて調査できれば、よりくわしい水環境のデータを集めることができます。

 

中村先生のつくるロボットは、見た目は機械ですが、いきものそっくりのなめらかな動きをします。この動きが、この日一番の発見と驚きとして、印象に残った参加者が多かったようです。会場からは歓声があがり「とてもおもしろかった。もっと話を聞きたい」「いきものの見方が変わった」「多くのこどもたちに、こうした話を聞いてほしい」などの感想が寄せられました。

 

 

講師紹介 

市民自然観察会

十年以上にわたり西の湖に飛来・棲息する野鳥や、自生する植物の観察活動を継続して行う。また毎月のゴミ拾い・草刈や年に一度のヨシ刈りなど、西の湖の湿地環境保全活動を行っている。

 

中村太郎先生

中央大学理工学部教授。博士(工学)。人工筋肉や機能性流体の開発と制御、および生物を規範としたロボットの開発に従事。日本機械学会研究奨励賞、文部科学大臣表彰若手科学者賞などを受賞。

 


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