2015.02.05

【報告】ベルヌーイらせんのヨシ作品展示

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近江八幡市の西の湖には水・土・空気を浄化するヨシが多く群生しています。このヨシに親しみ、価値を再発見することを目的に、よしきりの池・安土B&G海洋センター一帯で、年に1回「西の湖ヨシ灯り展」が開催されています。2014年度は約450点の作品が一堂に展示されました。

 

第8回「西の湖ヨシ灯り展」
日 時:2014年9月27日(土)-28日(日)
場 所:よしきりの池(滋賀県近江八幡市)

 

この展示で、滋賀県立大学環境科学部 松岡研究室は、自然界で見られる「ベルヌーイらせん」を取り入れた作品を制作しました。その中心を担った大学院生の宮崎瑛圭さんに、制作の行程と作品についてお話を伺いました。

 

 

ベルヌーイらせんとは?

 

17世紀のスイスの数学者ヤコブ・ベルヌーイが発見した、自然界によく見られるらせんの一つ。羊の角、オウムガイの殻、台風の目、はやぶさが獲物に近づくときの飛行ラインなどで知られます。古くから、美術作品や建造物に用いられて来ました。

 

 

ヨシで美しい曲線をつくる

 

このシンプルで美しいらせんをヨシでつくる作品に挑戦しました。

 

まずは設計です。ヨシでつくった4角形のユニットを34段重ねることで、ベルヌーイらせんを表現することに。底辺2メートル×2メートル、高さ4メートルの作品をつくるために必要なヨシの量を計算した結果、およそ464メートル(!)のヨシが必要になりました。

 

4角形のユニットの回転角(45度)を一定にし、ベルヌーイらせんに則るようにユニットの大きさを調整して、重ねて行きました。ヨシの接合には縄を使い、強度がある「石丸結び」「男結び」を用いました。

 

 

組み立ては地域の人と

 

高さ4メートルの大作のため、パーツに分けて展示場で組み立てることにしました。しかし、思いのほかヨシに重みがあり、ユニットを重ねる行程が難航。悪戦苦闘していたところ、ヨシや竹をよく知る地域の人がアドバイス。中心に竹を立て、ユニットを順に結んで行き、見事思い描いた作品が実現しました。

 

 

自然にとけ込む作品に

 

自然界で見られるらせんをモチーフにしたこの作品は、自然豊かな展示空間に見事調和していました。展示期間中たくさんの来場者の目にとまり、滋賀県知事賞を受賞しました。

 

 

作品の制作を通じて(宮崎さんの感想)

 

ものづくりの素材としてのヨシの魅力や活用の難しさを、身をもって感じました。ヨシという地域資源の継承のために、この経験をもとに新しい活用のかたちを考えられるのではないか思いました。

 

 


※本事業は、滋賀県立大学COC事業の一環である公募型地域課題研究「西の湖を拠点とする自然の恵みを活かしたデザインの実践と検証」として実施しました。(連携団体:アスクネイチャー・ジャパン)

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