2016.08.13

【開催報告】植物に学ぶ、色素増感太陽電池

20160806

 

大阪大学の学生がアスクネイチャー・ジャパンと企画をはじめて6年になりました。その年のメンバーの興味関心に応じて「バイオミミクリー×近江八幡」をテーマに企画をしています。

 

2016年度は、工学を専攻する学生が自らの専門を活かしてつくった「色素増感太陽電池」を作成するワークショップを行いました。

 

バイオミミクリー ものづくりワークショップ2016
「植物に学ぶ、色素増感太陽電池」

 

植物の生きるしくみ「光合成」からヒントを得た色素増感太陽電池で、光るステンドグラスをつくってみよう!

 

日 時:2016年8月6日(土)14:00-17:00
場 所:奥村家住宅(近江八幡市永原町上8)
対 象:主に中学生〜高校生 17名
講 師:大阪大学工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻加賀研究室 大学生・大学院生
主 催:大阪大学工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻加賀研究室、アスクネイチャー・ジャパン

共 催:株式会社まっせ、八幡中学校教諭 西村忠司、龍谷大学魅せるものづくり中川恵輔(代表)前田一磨


1. はじめに


本ワークショップの主旨は大きく2つあります。一つは、バイオミミクリーというものづくりの概念を学ぶこと。もう一つは、開催地の滋賀県、とくに近江八幡市の自然を知ることです。


まずは、バイオミミクリーのクイズに挑戦!有名な事例から、日本でほとんど知られていない海外の製品開発まで、さまざまな題目に盛り上がり、参加者同士打ちとけました。


次に、琵琶湖水系に特徴的な生態系、生きものや暮らしについてレクチャーを行いました。講師は、大阪大学の学生たち。滋賀県外に住む学生ならではの視点から、西の湖に棲む生きものの魅力、自然とともに育まれた地域文化などについて語りました。参加者からは「外から見ると近江八幡にそんな魅力があるのかと思った」というコメントが出ました。



2. 色素増感太陽電池で自分だけの光るステンドグラスをつくろう!


植物の葉緑素「クロロフィル」では、光を浴びると電子が飛び出します。この電子の移動が光エネルギーとなり光合成を行います。色素増感太陽電池は、これと似たしくみで発電します。


色素増感太陽電池は、酸化チタン膜に色素をつけた導電性ガラスと、黒鉛をつけた導電性ガラスの間に、電気を通す水溶液を挟んでつくります。ワークショップでは、ガラスにつけた酸化チタンペーストを加熱して膜をつくり、色素としてはハイビスカス・コーヒー・たまねぎの皮・ほうれん草の4種類を使いました。もう一枚のガラスを鉛筆で塗りつぶし、2枚のガラスを電気を通す水溶液ではさみ、クリップで固定して発電量をはかりました。ほとんどの参加者が発電に成功!


次はステンドグラスふうオブジェの制作です。光を通すカラーペンでガラスに思い思いの絵を描きました。地域の自然に目を向け、近江八幡の水郷の絵を描いた参加者もいました。このガラスに、色素増感太陽電池で発電した光をあて、光るステンドグラスをつくるのが最終ゴール。今回制作した電池の発電量は小さかったため、とても弱い光でした。参加者のみなさん、自宅でもぜひ楽しんでくださいね。



3. 発電証明書授与


最後は、参加者全員に大学生お手製「発電証明書」が手渡されました。一人ひとりが実験で発電した量を記した参加証です。


途中休憩をはさみながらも、3時間たっぷりのプログラムとなりました。聴講された中学校の先生から「授業時間よりかなり長かったが、中学生も集中して取り組めていた。普段できないよい経験になったと思う」と、うれしいコメントをいただきました。



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