2012.09.26

理事|力石伸夫


長く経済界、金融界に身を置いてきたが、その後、大学に籍を置く中でリーマンショックに見舞われて、改めて経済学の科学とは何だったのかと考えさせられた。 E・F・シューマッハーは70年代既に、現代経済学に欠落しているのは「人間の欠落」と「自然(環境)の欠落」であると指摘し、現代経済学はもう一度人間と自然の研究から再構築すべきだと警鐘を鳴らした。(昨年がシューマッハー生誕100年であった。)

 更に遡れば、A・マーシャルは『経済学原理』第5版の序文(1907年。初版は1890年刊)において「経済学者の目指すメッカは経済生物学にある」とし、森の中の木と産業における企業が生物学的アナロジーによってとらえられている。

それから105年、今年、英エコノミスト編集部は『2050年の世界』を刊行、その中で「科学の未来は生物学にある」と指摘し、「生物学とナノ科学・情報科学の両分野との結び付き方によっては、これから2050年までのあいだに多大な革新が起こるだろう」と予測した。

アスクネイチャー・ジャパンは、それを先取りしている。これまで数々の研究会を重ね、データベースを整備してきたが、いよいよ「自然や生きものに学び」の実践へと進むときである。抽象論はさておき、「実践科学」「実践技術」「実践ライフスタイル」へと歩みを進めて行きたい。(2012.10.)

公益財団法人 淡海環境保全財団
理事長 力石伸夫

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